家庭教師派遣契約を中途解約する際の精算方法に納得できない。

相談内容

新聞に掲載された広告をみて、家庭教師派遣業者Xに問い合わせの電話をしたところ、「今、ちょうど近所に出向いている者がいるので、すぐに自宅に向かわせます。」と言って、すぐにXの担当者が自宅に訪問してきた。担当者からパンフレットを渡され、簡単な説明を受けた。中学2年生になる子供と家庭教師との相性もあるので、授業を何回か受けた様子をみて、長期の契約を検討しようと思い、そのつもりで、取りあえずXと契約を締結した。その際のXの説明では、2時間が1コマになり、その内容は45分の説明、15分の質疑応答を2回繰り返して2時間の授業内容とのことだった。 しかし派遣されてきた家庭教師によると、45分で15分間の休憩を入れるということであり、休憩を入れずに授業を行った場合には、1時間30分で授業が終了となる契約内容であると言っており、自分が契約時にXから受けた説明とは異なった。なお、家庭教師は子供と相性があった家庭教師であっても、家庭教師の都合で約2か月間しか継続して指導して貰うことはできないと知り、たまたまXからかかってきた電話で、子供も気が進まないようなので1か月のみで契約をやめたいと伝えたところ、乱暴な口調で、「こちらからかけた電話で解約を申し出るとはどういうことだ。
もともと、当該契約は6か月間以上の契約期間である旨が契約書面にも明記されている。契約直後の1か月で受講をやめたいということだが、1か月分の授業料プラス違約金2万円を請求する。ほかの生徒にも支払ってもらっている。」と乱暴な口調で言われた。 契約時に契約期間が半年以上の長期の契約であるとの説明は一切受けていなかった。Xは自宅に訪問してきた後、契約について簡単な説明を行い、その場での契約を急がされたたため、うっかり、契約書面に記載された内容の詳細を確認しないままに署名してしまった。契約書面を確認してみると、「教師と生徒が慣れるまでの期間や生徒に合った学習方法を身につけるまでの期間として、また計画に基づいた定期的な指導による効果をあげるために入会後は、最低6か月間分の指導をお受け下さい。」、「解約は電話連絡にて1か月以上前までに解約通知書を請求し、必要事項を記入してXまで郵送にてご返送ください。なお、指導期間を満了しない場合や1か月以上前までに連絡がなかった場合については、月謝1か月分(開始後3ヶ月までは違約金2万円を追加請求します)を支払えば解約することができます。また、費用についての返金は一切行っていませんので、ご了承ください。」と記載されていた。乱暴な口ぶりの対応を受け、すぐにでも契約を解除し、Xとは関わりを断ちたいと思っているが、解約にあたり月謝1か月分3万6千円に当初聞いていなかった違約金2万円の合計5万6千円という請求は高額すぎるので、支払いたくない。Xが請求しているとおり 支払わなければ当該解約はできないのだろうか。

ここに注意!

特定継続的役務提供契約は、クーリング・オフ期間経過後も役務提供期間内であれば役務提供受領者は将来に向かって契約を解除することができます。(中途解約)
中途解約までに提供された役務の対価に相当する額については消費者が負担することになります。また、中途解約に伴う損害賠償の額は上限が設定され、事業者は、これを超える額を請求することはできません。事業者が解約料を定める場合には合理的算出根拠が必要です。なお、これらに対する遅延損害金が生じた場合は、別途消費者が負担することになりますが、法定利率を超えた額を支払う必要はありません。

◎ クーリング・オフ期間の経過後も、役務提供期間内であれば将来に向かって契約を解除することができます。その際に役務提供事業者が消費者に請求できる金額の上限は、特定継続的役務ごとに下記のとおり定められています。
また、役務提供を受ける際に関連商品(詳細は後述)も一緒に購入されている場合はその関連商品も一緒に解除することができます。(法第49条)

特定継続的役務 役務提供開始前 役務提供開始後
エステティックサロン 2万円 提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び2万円又は契約残額の10%のいずれか低い額を合算した金額
語学教室 1万5千円 提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額を合算した金額
家庭教師 2万円 提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び5万円又は1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額を合算した金額
学習塾 1万1千円 提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び2万円又は1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額を合算した金額
パソコン教室 1万5千円 提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額を合算した金額
結婚相手紹介サービス 3万円 提供された特定継続的役務の対価に相当する額及び2万円又は契約残額の20%のいずれか低い額を合算した金額

◎ 特定継続的役務における中途解約時の精算に係る考え方について
「特定継続的役務提供(いわゆる語学教室)」における中途解約時の精算に関して、平成19年4月3日に最高裁判所の判決が出されたことを受け、4月12日に特定商取引法における中途解約時の清算に関する規定(法第49条)の解釈について通達の改正を行い、中途解約において「提供された役務の対価」の計算に用いる単価は、契約締結の際の単価と明確にしました。

◎ 勧誘に際して事業者側の不実告知や重要事項の故意の不告知により消費者が誤認して行った契約の申込みや承諾の意思表示は、取消しができます。(法第49条の2)

消費者の方々へのアドバイス

特定継続的役務 役務内容 期間 金額
エステティックサロン 人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと 1月を超えるもの 5万円を超えるもの
語学教室 語学の教授(入学試験に備えるため又は大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く。) 2月を超えるもの 5万円を超えるもの
家庭教師 学校(小学校及び幼稚園を除く。)の入学試験に備えるため又は学校教育(大学及び幼稚園を除く。)の補習のための学力の教授(役務提供事業者が用意する場所以外の場所において提供されるものに限る。) 2月を超えるもの 5万円を超えるもの
学習塾 入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校(大学及び幼稚園を除く。)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事務所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る。) 2月を超えるもの 5万円を超えるもの
パソコン教室 電子計算機又はワードプロセッサーの操作に関する知識又は技術の教授 2月を超えるもの 5万円を超えるもの
結婚相手紹介サービス 結婚を希望する者への異性の紹介 2月を超えるもの 5万円を超えるもの

【政令に規定する関連商品】
・エステティックサロンの関連商品

・語学教室、家庭教師または学習塾の関連商品

・パソコン教室の関連商品

・結婚相手紹介サービスの関連商品

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